なぜ医学部なのか
このページを見ているほとんどの人が医学生、もとい医者を志しており、今受験勉強や進路で頭を悩ませているのだろうか。現在私は国公立大学の医学5年生である。
突然だが今医学部を目指しているという人たちに聞きたい。それはどんな動機だろうか。私がまわりの同期からよく聞くのは、身内の病気やケガがきっかけで、親が医者で成り行きで、将来稼げそうだから、たまたま賢かったから。まあ正直いって大した理由でない人が多い。だが今一度よく考えてもらいたい。一度この医学の門をたたいてからは、君たちは大量の情報にさらされ、終わらないテストを何度も何度も乗り越え、時には寝る間も惜しんで勉学に勤しまなければならない。今までの受験勉強で学んだことはほとんど将来使わない。一般的な花の大学生活とはかけ離れているかもしれない。大学の6年間を無事に戦い抜けて卒業し、国試を突破したら一安心か。そんなはずはない。そこでようやくスタートラインだ。今までのものは机上のものばかりであり、現場ではまた別の対応力、迅速な判断が求められる。2年間の研修を終えてその後専門医を取得して、、、もちろんこれらは医学生の全員がたどる道とは言わない。経営、企業、行政など別の道もなくはない。だがしかし今の教育現場でこれらの道のアプローチを手助けするシステムはほとんどない。自分で切り開くしかない。入学時、「俺はきっと起業して金持ちになる!」と言っていたものが医学部にどっぷりつかっていつの間にか医者になる以外の選択肢を忘れる、なんてのはよくある話だ。
さて、ここで改めて問いたい。なぜ医学部なのか。今の医療がどれだけ経営難であるか知っているだろうか。現在病院の6割が赤字といわれており、そのしわ寄せは医療従事者にきている。医者が裕福で人から尊敬される、というイメージはとっくの昔のものである。医者の給料は肩にのしかかる重い責任を考えると到底少ないし、そもそも働く時間を考えると時給にするととても低い。失敗しようものならネットや口コミで一気に悪評が広がる。夜間の当直では夜中の3時に、救急車が5台連続で搬送され、目の前で心肺停止の患者の蘇生に挑みながら、別の部屋では骨折の処置、向こうでは暴れる酔客の対応。。。ずっと患者に構いきりで親兄弟とは疎遠、家族との時間もろくに取れず友達の結婚式はドタキャン。。こんなことが日常茶飯事の医療現場に君は飛び込もうとしている。もう一度考えてみてほしい。なぜ医学部なのか。
コメント